Reportレポート

商品販売およびサービス提供のためのインボイスの発行時点について

2022/06/03

  • Le Ngoc Quoc Bao

はじめに
 2020年10月19日、ベトナム政府は請求書と証憑に関する政令123を公布した。この政令では、商品販売およびサービス提供のためのインボイスの発行時点についていくつか改正点がある。

1.商品販売およびサービス提供のための請求書の発行時点
請求書の発行時点>
 政令123によれば、商品販売およびサービス提供のためのインボイスの発行時点は下記の通りとなる。
(1)商品販売請求書の発行時点は、請求金額(前受金および保証金も含む)の支払が行われたか否かを問わず、商品の所有権又は使用権が購入者に移転された時である。
(2)サービス提供請求書の発行時点は、請求金額の支払が行われたか否かを問わず、サービス提供の完了時点である。サービス提供前又は提供中に前受金を受領する場合にあっては、請求書の発行時点はその受領時点である*。
(3)商品が品目ごとに引き渡され、所有権又は使用権が移転する場合、又はサービスの工程完了ごとに完了確認・得意先の検収が行われる場合は、各引き渡し・検収等の都度、請求書を作成する必要がある。

<特定のケースの請求書発行について>
 (1)以下のサービスに関する請求書の発行時点は、サービス提供月の翌月7日又は契約期間終了日から7日を超えないものとされている;
・航空運送支援
・航空運送用燃料の提供
・電気、水道、郵便、信書便などの提供(代理店サービス、現金の回収サービスおよび支払サービスを含む)
・テレマティクス(情報通信)、ロジスティクス、情報技術サービス(下記(2)に該当する場合を除く)
 契約期間の終了日は、商品販売又サービスの提供者と購入者との契約に基づいて定められる。この規
定は政令123の新しい点の一つである。

 (2)テレマティクス(テレマティクス関連サービスを含む)および情報技術サービスで、電子マネー決済を利用する場合など、サービス提供実績の当事者間での照合確認が必要なケースでは、サービス料金の発生月から2カ月以内に請求書を発行することが認められている。

 (3)建設および設置業務の請求書発行時点は、請求金額の支払が行われたか否かを問わず、完成した建造物又は設置数量、工種の検収時又は引き渡し時である。

 (4)不動産の売買又は販売目的でのインフラ施設・住宅建設事業の請求書発行時点は、以下の通りとなる
・所有権又は使用権が移転されていないが、契約に従って分割検収が行われる場合は、分割検収時
・所有権又は使用権が移転された場合は、所有権等の移転時

 (5)国際慣行に従って設立されたウェブサイト又は電子商取引システムを通じて発行される航空券は、チケットがウェブサイト等で発行された日から 5 日以内に請求書を発行する。

 (6)代理店を通じた航空運送および保険サービスについては、当事者間でのサービス提供実績データの照合および確認が完了した時点で請求書を発行する。ただし、当該サービス提供月の翌月10日までに発行しなければならない。

おわりに
 以上、最新の法令に基づく請求書の発行時点について解説した。政令123の適用開始時期は2022年7月1日からとされているものの、試験的導入により、ハノイ市、ハイフォン市、クアンニン省、フート省、ビンディン省、ホーチミン市は2021年11月21日より適用開始とされ、他の57省についても財務省決定206/QD-BTCにより2022年4月より適用開始とされているので、留意されたい。
 請求書を正しいタイミングで発行し、税法を順守するため、当レポートを参考にしていただければ幸いである。

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