Reportレポート

輸出加工企業の固定資産の売却手続き

2026/02/09

  • Pham Thi Thuy Trang

輸出加工企業(以下、「EPE」)が事業活動を進める中で、固定資産が老朽化や破損、陳腐化などにより使用できなくなることは避けられず、固定資産を売却したいというニーズはよく発生する。一方で、固定資産の売却手続きにはさまざまな規制があるため、法令を遵守しながら適切に実施する必要がある。本稿では、現行の税務規定および関連法令に基づき、EPEにおける固定資産売却の条件および手続きの流れについて説明する。

1. 固定資産の売却条件

通達第04/2007/TT-BTM号第4項(c)に基づき、EPEが固定資産を売却できるのは、以下のいずれかに該当する場合とされている。
減価償却期間が終了した場合
破損した場合
生産規模を縮小する、または事業目的を変更する場合
新しい機械、設備または輸送手段に更新する場合

2. 固定資産売却に関する書類

売却申請オフィシャルレター(税務当局宛)
売買契約書
輸入申告書(当該固定資産が輸入品である場合)
減価償却明細表(該当する場合)
破損に関する鑑定書(該当する場合)
固定資産売却審査委員会の会議議事録および棚卸資産・資産再評価記録
固定資産売却決定書
輸入税が免除された固定資産を売却する場合は、免税固定資産の売却に関する税関当局の確認書を併せて提出する必要がある。

3. 固定資産の売却形態

3.1. 海外へ固定資産を売却

a. 輸入時にEPE向けの税制優遇および物品管理政策が適用された固定資産の場合
用途変更手続きを行うとともに、税金を納付せずに税務申告を行う。(通達第38/2015/TT-BTC号第21条第2項(b)および政令第08/2015/NĐ-CP号第25条第5項)
「B13-輸入済み商品の輸出」の形で輸出申告を行う。この場合の税務上の取扱いは以下のとおりとなる。
・ 輸出税は免除される(政令第134/2016/NĐ-CP号第12条第2項)
・ 付加価値税(VAT)は非課税対象となる(政令第181/2025/NĐ-CP号第4条)

b. ベトナム国内で購入した固定資産を売却する場合
通常の輸出手続に従い、輸出申告を行う。
固定資産を海外へ売却する際に発生する税金(輸出税など)を納付する。

3.2. ベトナム国内へ固定資産を売却

a. 輸入時にEPE向けの税制優遇および物品管理政策が適用された固定資産の場合

輸入時にEPE向けの税制優遇および物品管理政策が適用された固定資産をベトナム国内へ売却する場合、通達第38/2015/TT-BTC号の第79条または第86条のいずれかの手続きを選択して実施することができ、それぞれ以下が詳細となる。

<通達第38/2015/TT-BTC号79条を選択する場合>
EPEは固定資産の用途変更手続きを行う。
EPEは輸出加工区向けのインボイスを発行し、インボイス上に「輸出加工区内の組織・個人向け」と明記する。
EPEは「A42-その他の国内販売への転用」の形で税関申告を行う。
EPEは直接法により固定資産売却額に税率を乗じて算定し、課税義務が発生した日から10日以内に付加価値税の申告および納税を行う。

<通達第38/2015/TT-BTC号86条を選択する場合>
EPEは固定資産の用途変更手続きを行う必要がない。
EPE企業は輸出加工区向けのインボイスを発行し、インボイス上に「輸出加工区内の組織・個人向け」と明記する。
EPEは「B13-輸入済み商品の輸出」の形で輸出申告を行う。(オフィシャルレターNo.1478/TCHQ-GSQL号に基づく)
国内企業(EPEから固定資産売却を購入する企業)は、「A12-商業・生産目的の輸入」の形で輸入申告を行い、実際の取引価格に基づき、輸入税・付加価値税およびその他該当する税金を申告・納付する義務がある。

b. ベトナム国内で購入した固定資産を売却する場合

税関総局の公文書第4067/2022/CHQ-TXNK号(2022年9月29日付)によると、「国内から購入した貨物・設備(輸入申告を行っていないもの)、または輸入品であってもEPE向けの優遇措置・制度の適用を受けず、輸入時点において輸入税制および輸入品管理政策をすでに完全に履行した貨物については、当該貨物を国内企業に販売または売却する際、EPEは税関手続きを行う必要がない」と規定されている。

したがって、EPEがベトナム国内で購入した固定資産を国内に売却する場合、税関手続きは不要であり、直接法により課税義務が発生した日から10日以内に付加価値税の申告および納税を行う必要がある。

4. 課税価格の算定

通達第60/2019/TT-BTC号第1条第9項によると、ベトナム国内で使用された輸入貨物の用途を変更して販売する場合、税関価額は実際の販売価格とする。ただし、税関当局が、申告価額が実際の取引実態と異なると判断する合理的な理由がある場合には、当該貨物の実際の状態に基づき、適切な方法で税関価額を再算定することができる。

おわりに
EPEが固定資産を売却する際は、用途変更および税務申告に関する法令を適切に遵守する必要がある。取得源(輸入資産か国内資産か)を正確に区別し、それそれに適した税関申告区分、輸入税率、付加価値税および申告方法を適用することが求められる。これらの手続きを正確に行うことは、税務リスクの回避だけでなく、固定資産管理および税関書類の透明性を確保するうえでも重要である。必要に応じて所轄の税関当局と直接協議のうえ、正式な指導を受けることを推奨する。

参考文献
付加価値税法第48/2024/QH15号(2024年11月26日公布、国会)
政令第08/2015/NĐ-CP号(2015年1月21日)
政令第134/2016/NĐ-CP号(2016年9月1日)
政令第181/2025/NĐ-CP号(2025年7月1日)
政令第126/2020/NĐ-CP号(2020年10月19日)
政令第70/2025/NĐ-CP号(2025年3月20日)
政令第123/2020/NĐ-CP号(2020年10月19日)
通達第60/2019/TT-BTC号(2018年4月20日付、通達第39/2018/TT-BTC号より一部改正)
通達第39/2018/TT-BTC号(2015年3月25日付、通達第38/2015/TT-BTC号より一部改正)
税関総局決定第1357/QĐ-TCHQ号(2021年5月18日)
税関総局オフィシャルレター第4067/TCHQ-TXNK号(2022年9月29日)
ハノイ市税務局オフィシャルレター第44614/CTHN-TTHT号(2024年8月5日)
財務省オフィシャルレター第18195/BTC-TCHQ号(2015年12月8日)
税関総局オフィシャルレター第1478/TCHQ-GSQL号(2022年4月26日)

 

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