Reportレポート

個人所得税の誓約書の作成条件について

2023/02/19

  • Pham Kieu Phuong Khanh

はじめに
 源泉徴収とは、給与や報酬を支払う組織または個人が、支払い時に所得税を差し引いて納税する制度である。労働契約を締結していない居住者、または、労働契約期間が3カ月未満の居住者に1回当たり総額2,000,000VND以上の給与や報酬等を支払う組織または個人は、その金額に対して10%の税金を源泉徴収した上で、当該個人に支払わなければならない。ただし、例外的に源泉徴収しなくてよい場合もある。
 本稿では、通達80/2021/TT-BTC号のフォーム08/CK-TNCN号に規定される、所得税を一時的に源泉徴収しないことに対する誓約書(以下、「個人所得税の誓約書」という)の作成条件を満たす個人について説明する。

1.個人所得税の誓約書の作成条件を満たす個人
 給与、報酬、その他の収入を得ている居住者は、以下の 5 つの条件にすべて該当する場合、フォーム08/CK-TNCN号を使用して誓約書を作成できる。

条件 内容
1.労働契約 労働契約を締結していない、または労働契約期間が3ヵ月未満の居住者
2.税務登録 誓約時に既に税コードを取得している
3.収入金額 1回あたり総額VND2.000.000以上の収入がある
4.課税所得金額 総収入金額から、給与所得控除額・基礎控除額・扶養控除額を差し引いた後の課税所得金額が、納税が必要とされる最低水準金額に達していない
5.所得の種類 課税年度開始日の1月1日から誓約時点までの期間において、10%の税率での源泉徴収の対象となる所得のみを得ている

出所:各種資料を基に執筆者作成

2.給与や報酬を支払う組織や個人の義務(源泉徴収義務者)
 2022年1月1日以降、通達第80/2021/TT-BTC号及びフォーム08/CK-TNCN号に基づき、個人所得税の誓約書(10%の個人所得税控除なしのため)の作成条件を満たす場合、該当者は誓約書を作成するこ とができる。
 また、課税年度の終了時に源泉徴収義務者は、税務管理に関するガイドラインの付属フォーム05-2/BK-QTT-TNCN号を使用して、源泉徴収の必要がない個人や当該個人の所得情報等をまとめたリストを作成し、課税年度末日から90日以内に税務当局に提出する必要がある。
 誓約を行う個人は、自身の誓約書に責任を負わなければならず、不正行為が発覚した場合は、税務管理法の規定に従って処罰される。

※留意点
 個人が2カ所以上から1回当たり2,000,000VND以上の収入を受け取っている場合、当該所得は10%の個人所得税控除の対象となる。しかし給与所得控除額(基礎控除額や扶養控除額を含む)を差し引いた後の課税所得金額が、納税が必要とされる最低水準金額に達していない場合は、2018年11月8日付で発行された税務総局によるオフィシャルレター第4389/TCT-TNCN号のガイダンスに基づき、当該個人は各所得単位で誓約書を作成することができる。
 ベトナム居住者の給与所得もしくは個人事業所得に対して、以下の控除が可能である。
 (1)基礎控除
  月11,000,000VNDの控除が可能(年132,000,000VND)
 (2)扶養控除
  被扶養者1人当たり月4,400,000VNDの控除が可能(年52,800,000VND)

おわりに
 以上、個人所得税の誓約書の作成条件、及び2022年から適用される最新の留意点について述べた。従業員への案内や適用の検討を行う際に参考になれば幸いである。

参考文献
-通達 111/2013/TT-BTC号:個人所得税法の改正法に関する施行ガイドライン
-決定 954/2020/UBTVQH14号:個人所得税法の人的控除の調整に関する決定
-通達 80/2021/TT-BTC号:税務管理法の施行ガイドライン
-政令 126/2020/NDCP号

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