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【企業】電子識別アカウントの取得に関する最新動向~外国人代表者による手続は現時点で不可、2025年7月以降に開始予定~
2025/06/05
1. 前回配信内容との関連
2024年5月8日に配信した「2025年7月までに電子識別アカウントの取得が必須に」のニュースでは、企業アカウントの制度変更と今後の対応についてご案内した。
今回は、現時点における企業のアカウント取得の可否について整理している。とりわけ、法定代表者がベトナム人か外国人かによって、手続の可否が分かれる点にご留意いただきたい。
2. 既存アカウントの失効と新制度の導入
2024年7月1日施行の政令第69/2024/ND-CP号では、国家公共ポータルなどで発行された従来の企業アカウントは、2025年6月30日をもって失効することが定められている。2025年7月1日以降は、企業などがオンラインで行政手続きを行うには、電子識別アカウントを新たに取得する必要がある。
3. 電子識別アカウントとは何か
電子識別アカウントは、ベトナム国内の行政手続きにおいて必要となる本人確認手段である。企業などが電子識別アカウントを取得するためには、法定代表者または委任を受ける個人が、電子識別アカウントの中の「レベル2」※と呼ばれるアカウントを保有していることが前提となる。
※顔認証などを含む対面による追加確認を経て発行される、信頼性の高い本人認証手段。税務、社会保険、労務手続やライセンス申請など、多くの行政手続きにおいて、このレベル2アカウントの活用が求められている。
4. 企業のアカウント取得の可否について(2024年6月時点)
現在、企業などが電子識別アカウントを取得できるかどうかは、法定代表者の属性
により異なっている。以下に整理する。
法定代表者の属性 | 申請の可否 | 補足 |
ベトナム人 | 申請可能 | ただし、レベル2アカウントをすでに保有している場合に限る |
外国人 | 現時点では不可 | 外国人向けのガイダンスは未公表。ベトナム人に委任することはできるが、その場合でも外国人本人のレベル2の電子識別アカウント情報が必要になる。 |
5.外国人代表者がいる企業への今後の見通し
2025年7月1日以降に外国人向けレベル2アカウントの発行手続が開始される見込みである。正式なガイダンスが当局から発表され次第、改めて情報を更新する予定である。
6.企業が今からできる対応
すでに申請可能な企業については、早めの手続きを進めることが望ましい。申請ができない企業についても、以下の準備を行っておくことが推奨される。
・所在地を管轄する公安当局へ連絡し、地域における対応状況や必要書類を確認しておく。
・2025年7月1日までに電子識別アカウントが未発行の場合に備えて、社会保険や税務などの関連手続の対応方法について、所轄の管理機関に事前に確認しておく。
なお、現在のところ電子識別アカウント未取得に対する罰則規定は設けられていないが、行政手続の遅延や停止による実務影響を防ぐためにも、早めの準備が望ましい。
参考文献:
・政令第69/2024/ND-CP号