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【労務】企業の社会保険料滞納・回避への扱いについて

2024/05/02

実際、多くの企業で社会保険料の納付義務違反が行われている。刑法では、社会保険、失業保険で不正を行う罪(第214条)及び労働者の社会保険、医療保険、失業保険の料金納付を逃れる罪(第216条)について規定されているものの、こうした違反行為の処理は非常に困難であり、処分すらされていないケースがほとんどである。
裁判官評議会は、これら条項の適用を指導するため2019年8月15日付の決議No.05/2019/HDTPを発行した。しかし、犯罪行為の認定や対処措置の適用には依然として多くの解釈があり、犯罪構成要件を判断するのは困難である。このような状況が引き起こされる理由の1つに、現行法に社会保険料の「滞納」と「回避」を区別する規定がないことが挙げられる。

上記を踏まえ、2024年3月の第31回国会常任委員会において、社会保険に関する条文の明確化を目的とした社会保険法草案の改正案が出された。社会保険料の滞納や回避、またはそれを計画する行為を明確に区別したうえで適切な措置を適用できるようにする。また、第7回国会会議(2024年5月)には改正社会保険法が国会に提出され、承認される予定である。

社会保険分野の違反行為の取り締まりは、より厳格になっていくと思われる。従って企業は不必要な制裁を受けないよう、法令遵守を意識していく必要がある。改正社会保険法が公表された際には、ニュースレターで改めて情報を共有させていただく。