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【税務】2025年 税務調査動向のアップデート
2025/11/20
2025年も終わりに近づく中、企業活動を取り巻く税務環境は一段と厳格さを増している。引き続き税務リスクが高い分野に対する重点的な管理体制と、VAT 還付に対する事後調査の強化が鮮明になっている。本ニュースレターでは、2025年1月から10月までの税務調査の実績と、その留意点をわかりやすく整理する。
1. 税務調査・検査の重点分野
税務当局は引き続き徴収管理の強化を方針として掲げている。特に、「税務リスクが高いとする取引」が集中的に調査されている状況である。
<重点的に確認される取引>
・関連者間取引
・資本譲渡
・電子商取引およびデジタルプラットフォームを通じた事業
・証券取引
・株式による配当支払
また、VAT 還付後の税務調査・検査も一層強化する方針である。
2. 調査実績
2025年の最初の10カ月において、税務当局はベトナム全土で合計46,704件の税務調査・検査を実施しており、前年同時期比で101%となる。これらの調査の結果、税務処理に関して指摘された総額は48兆5,114億VNDに達した。内訳は次の通りである。
• 追徴課税:14兆3,970億VND
• 控除額の減額:1兆9,973億VND
• 繰越欠損金の減額:32兆1,171億VND
3.付加価値税(VAT)還付に関する調査・検査結果
2025年10月20日時点で、税務当局は13,528件のVAT還付決定を発行しており、還付額の総計は111兆6,160億VNDに達している。これは、国会が承認した2025年のVAT還付予算 176兆VND の63.4%に相当し、前年同時期の実績と同水準(100%)で推移している。
ベトナムのVAT還付制度は、案件の内容や税務リスクに応じて、「事前審査方式」と 「還付先行・事後調査方式(申請段階で還付が先行し、その後に当局が詳細を確認する方式)」 のいずれかで手続きを進める仕組みとなっている。
そのうち、事後調査方式における調査件数は増加している。税務当局は7,952件の還付決定に対し、1,737件の事後調査を実施しており、これは前年同時期比で63%増という大幅な増加である。
これらの案件に対応する還付額は64兆4,350億VNDにのぼる。事後調査の結果、還付手続に関する多くの違反が見つかっており、還付金の返還および罰金の合計は 4,550億VNDにのぼる。そのうち 3,730億VND はすでに徴収済みである。
企業においては、税務義務を正確に履行し、申告および還付手続きを厳格に管理することが求められる。特に、「還付先行・事後調査」方式の場合、後日の調査で還付金の返還や追徴・罰金が発生するリスクが高い。そのため、普段の申告処理や還付申請前の内部チェックを徹底し、証憑の整合性を十分に確認しておく必要がある。


