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【税務】グローバルミニマム課税の関連政令が公布

2025/09/11

2025年8月29日、グローバル税源浸食防止の規定に基づき、追加法人税の適用に関する国会決議第107/2023/QH15号を詳細に規定する政令第236/2025/ND-CP号が公布された。本政令は2025年10月15日から施行され、2024年度の会計年度から適用される。対象は、直前4年間の会計年度のうち、少なくとも2年度において連結収益が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループである。
主要ポイント3点を以下の通り説明する。

1. 追加課税の種類について
税の種類→対象
QDMTT(国内ミニマム課税)
→ ベトナムに所在する構成事業体に適用される。最終親会社の所在は問わない。
IIR(所得合算ルール)
→ ベトナムに所在する親会社等が、低税率国にある自社グループの構成事業体の所得を合算して追加課税する仕組みである。

2. 移行期間における免除措置について

2.1. 移行期間
開始日が2026年12月31日以前、かつ終了日が2028年6月30日を超えない会計年度。

2.2.追加税額が免除されるケース
QDMTT またはIIRに基づく追加納付税額は、以下のいずれかの条件を満たす場合、「0」となる。
(1)総収入が1,000万ユーロ未満、かつ法人所得税前利益が100万ユーロ未満である場合
(2)簡易的に計算した実効税率が以下の最低税率以上となる場合
2023~2024年度は15%、2025年度は16%、2026年度は17%
(3)有形資産・給与水準に比して税前利益が低い場合
(4)標準化された国別報告書(CbCr)において 赤字 が計上されている場合

2.3. 行政罰の免除
行政罰が適用されない主なケースは以下のとおりである。
(1)申告・納税を担当する構成事業体の通知や対象構成事業体一覧の通知について提出遅延や未提出がある場合
(2)税務登録申請書の提出期限を過ぎた場合で、その遅延が90日以内である場合
(3)税務登録内容変更の通知が期限後に提出された場合
(4)申告内容に誤りや不足があっても、納税額の不足 ・ 免除・減免・還付額の増加につながらない場合

3. 申告書類について

3.1.申告書類の内容
(1)グローバルミニマム課税制度に基づく情報申告書
(2)追加法人所得税申告書
(3)会計基準の違いによる差異を説明する資料
(4)最終親会社の連結財務諸表作成に用いた各構成事業体の財務データ報告書
(5)多国籍企業グループのグローバルミニマム課税制度に基づく情報申告書(QDMTT適用対象のみ)

3.2. 申告書の提出期限

税の種類→期限
QDMTT:
→■上記(1)~(4)の申告書類
・最終親会社の会計年度終了日から12か月以内
■上記(5)の申告書類
・初年度は18か月以内
・翌年度以降は15か月以内
IIR:
→・初年度は18か月以内
・翌年度以降は15か月以内

今回の政令は、外国企業にとってベトナムでの税務対応に大きな影響を及ぼす可能性がある。
したがって、各企業はまず自社が適用対象か否かを確認することが重要である。
その上で、規定が自社にどのような影響与えるかを把握し、登録や申告を期限内に適切に行う体制を整える必要がある。

 

参考文献:
・ 政令第236/2025/ND-CP号