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【労務】2025年8月施行外国人労働者制度の主な改正ポイント
2025/08/14
政府は、これまでの外国人労働者に関するルールを全面的に刷新する新たな政令第219/2025/ND-CP号(以下「政令219」)を公布し、従来の政令を置き換えた。政令219は2025年8月7日から施行されている。
政令219の目的は次の3点に集約される。
・労働許可証(ワークパーミット)発行手続の簡素化と期間短縮
・高度人材(特に新技術分野)の積極的な誘致
・企業の事務負担軽減
これらの変更により、企業の採用活動や既存外国人スタッフの更新手続がスムーズになることが期待される。
以下は、政令219の主な変更点の概要である。
1. 労働許可証の発行・更新手続きの簡素化
以前は、形態やポジションにかかわらず
「1.ベトナム人募集 → 2.外国人労働者使用計画の確定 → 3.労働許可証発行申請」
という3つのステップが必要だった。
政令219では、最大でも2段階に短縮され、最短10営業日で完了する。
・多くの駐在員に適用される社内異動では、ベトナム人募集および外国人労働者使用計画の承認は不要となり、直接労働許可証発行を申請できることとなった。処理期間は10営業日である。
・現地採用など労働契約に基づく就労の場合のみ、1.ベトナム人募集 (2.の実施予定日の少なくとも5日前までに実施)と 2.外国人労働者使用計画の承認と労働許可証発行申請(同時)」という2ステップで実施する。
2. 専門家・管理者の条件緩和と明確化
専門家については、大学卒以上の場合の必要実務経験年数が3年から2年に短縮され、特定分野での柔軟な条件も追加された。管理者については、特定の管理者に対する経験年数の条件が明確化された。具体的には、以下の通りである。
「専門家(Expert)」は以下のいずれかとなる。
・大学卒以上または同等の学位を有し、予定職務に適合する分野での実務経験が2年以上あること。
・特定分野(科学、技術、イノベーション、国家デジタル転換、経済社会発展の優先分野)において、大学卒以上の学位を有し、予定職務における実務経験が1年以上あること。
「管理者(Executive Manager)」は以下のいずれかとなる。
・企業の支店、駐在員事務所、営業所の代表者であること。
・機関、組織または企業の一分野を統括し、かつ直接運営し、その分野においてベトナムで従事予定の職務に適合する実務経験が少なくとも3年以上あること。
3. 労働許可証免除制度の改善
・再発行・更新に関する規定を新設(旧制度にはなし)
・申請は書類提出のみで完了、旧来の3段階手続不要
・処理期間は5営業日に短縮
企業にとっては、免除案件の維持管理がより容易になる。
4. 無犯罪証明書の同時申請制度の導入
政令219では、労働許可証申請と同時に無犯罪証明書をオンライン申請できる。企業が労働者から委任を受け、国家公共サービスポータルを通じて申請すれば、結果は労働許可証発給機関に直接共有される。処理期間は、無犯罪証明書発給期間と労働許可証発給期間を合算したものとなる。
5. 定期報告義務の廃止
従来は外国人労働者の使用状況を定期的に報告する義務があったが、政令219では廃止された。今後は所轄機関が電子データシステムで直接管理するため、企業側の報告業務は不要になる。半年・年次の報告負担がなくなる大きなメリットとなる。
6. 企業がとるべき対応
政令219の施行から日が浅く、実務事例がまだ少ないため、現在進行中の労働許可証申請や
免除証明申請案件は、速やかに内容を見直し、必要に応じて修正することが望ましい。
また、新規定の適用や運用方法は地方当局によって解釈が異なる可能性があるため、事前に所轄機関へ確認することが重要である。
参考法令:
・政令第152/2020/ND-CP号
・政令第70/2023/ND-CP号
・政令第219/2025/ND-CP号


