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【進出】投資家の実務対応に関わる政令の改正案(2020年投資法関連)

2025/07/31

現在、2020年投資法の施行細則である政令第31/2021/ND-CP号(いわゆる政令31号)の一部条項を見直す改正案が公表され、意見募集が行われている。
本改正案は、制度運用上の不明瞭な点を整理し、現場での実務に沿ったルールへと更新することで、投資家にとってより利便性の高い環境を整えることを目的としている。

主な変更点は以下のとおりである。

1. 行政区再編に伴う投資優遇地域の判定ルールの明確化
地方行政単位(区)が統合された場合、新たな行政単位に対する投資優遇の取り扱いについて、次のとおり判断基準が設けられる。
統合前の状況―統合後の優遇判定
・すべてが「困難」または「特に困難」地域である⇒同様の優遇措置を継続適用
・異なる優遇レベルが混在している⇒「多数派」の優遇レベルを適用
・区分の数が同数である⇒優遇措置がより高い方を適用
このように、従来不透明であった地域優遇の継続可否について、企業側の予測可能性が高まるものと期待される。

2. FDI企業による事業内容変更時の手続き順序の明文化
外国企業(FDI)が事業内容を変更する場合の手続きについて、現在は所轄機関の意見または企業の選択によって対応が異なるが、本改正案では次のように整理される。
「まず投資登録証明書(IRC)を修正し、その後に企業登録証明書(ERC)の内容変更を行う」
外国企業が事業内容を変更する際の手続きを明確にすることで、投資活動と事業運営が、所轄機関の承認内容に沿って適切に行われるようにすることが改正案のねらいである。
その他の手続きについては、詳細な変更・ガイド規定がなく、企業側の選択または管轄機関の指示によって対応することになる。

3. 投資プロジェクトの活動期間の調整・延長の条件の緩和
現行の政令では、旧式技術に該当するプロジェクト(使用年数10年以上の機械・設備を含む)、または環境汚染のリスクがあるプロジェクトについては、活動期間の延長や調整が認められてないケースがあった。
しかし、実際の事業運営においては、使用年数が10年を超える機械であっても、性能や環境面に問題のないケースが多く、必ずしも旧式技術とは言えないとの指摘がある。
また、このような一律の制限は、企業にとって設備更新の負担やコストの増加を招き、実務上の柔軟性を欠く要因となっている。
このような背景を踏まえ、今回の改正案では、「使用年数が10年を超える機械・設備」という文言が削除される予定である。今後は、設備の技術的な妥当性や環境面への影響については、輸入審査や環境管理手続の中で個別に判断されることになる。

4. 土地引渡しの遅れに伴う進捗評価の明確化
現行の政令では、投資プロジェクトの活動期間は、原則として土地の割当や賃貸が決定された日から起算される。一方で、現地での土地引渡しが遅れた場合には、実際の引渡し日から活動期間を起算するとの規定もある。
ただし、「プロジェクトの進捗開始時点」については明確な定義がなく、評価上の混乱を招いていた。実務上は、土地の引渡しが遅れていたとしても、企業が「進捗遅れ」とみなされるリスクがあった。
今回の改正案では、この点を見直し、進捗の起算点を「現地での土地引渡し日」と明確に定義することで、企業側が不当な評価を受けないようになる。

今後、正式な情報が関係当局より公表され次第、改めて共有する。

参考文献:
・政令第31/2021/ND-CP号
・政令第31/2021/ND-CP号の改正案