Newsニュース

新着法令情報

【税務】輸出向け電子商業インボイスの運用開始

2025/06/05

1. 電子商業インボイスの導入
2025年6月1日より、政令70/2025/ND-CP(政令123/2020/ND-CPの改正)に基づき、ベトナムにおける輸出取引では「電子商業インボイス」の使用が示されている。
これは、既存の電子VATインボイスや電子販売インボイスとは異なる新しいインボイス形式であり、政令70/2025/ND-CPにより新たに導入されるものである。輸出者(法人または個人)が国外への商品販売やサービス提供を行う際に発行され、インボイスの情報は税務局へ電子的手段で送信される。

2. 適用区分と選択基準
輸出活動において電子商業インボイスを使用するために、電子データ送信などに関して適用条件がある。
要件の充足状況に応じて、使用できるインボイスの種類は次のように区分される。

区分 使用可能なインボイスの種類 適用条件
ケース1 電子商業インボイス 税務局へのデータ送信体制およびXML形式等の技術要件を満たす場合
ケース2 電子VATインボイスまたは販売インボイス 上記の要件を満たさない場合

3. 技術要件
電子データ送信に関する主な技術要件は以下の通りである。

・インボイスはXML形式とし、業務データと電子署名データで構成されること
・税務総局との接続は、次のいずれかの方式により実施すること
・専用線またはMPLS VPN(本線・バックアップ線の2系統、各回線5Mbps以上)
・暗号化されたWeb ServiceまたはMessage Queue(MQ)を利用すること
・データのパッケージ化と送受信にはSOAPプロトコルを使用すること
・電子インボイスは閲覧時に内容が正確かつ完全に表示されること

また、電子インボイスの送信は、企業が税務局と直接接続する方法に加え、認可された仲介組織を経由して行うことも可能である(政令123/2020/ ND-CP第22条)。

4. 実務上の準備事項(税務局へのデータ送信体制)
電子商業インボイスを発行する企業は、以下の体制を整備しておく必要がある。

・パソコン、インターネット、インボイス作成ソフトなど、適切な情報技術インフラを有していること
・有効な電子署名(USBトークンまたはHSM)を保有していること
・安定したネットワーク回線を確保していること
・税務総局が定める標準XML形式でインボイスを作成可能であること
・電子インボイスを税務局に送信できる体制(直接接続または仲介組織経由)を整えていること

なお、すでに電子VATインボイスや販売インボイスを使用している企業については、原則として電子商業インボイスに必要な技術要件も満たしているとみなされる。

 

参考文献:
政令第123/2020/ND-CP
政令第70/2025/ND-CP