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【税務】インボイス制度に関する主な変更点(2025年6月施行)

2025/04/03

2025年3月20日、ベトナム政府は「政令70/2025/ND-CP」を公布した。本政令は、これまでのインボイス制度を定めた「政令123/2020/ND-CP」の一部条項を改正・補足するものであり、2025年6月1日より施行される。以下に今回の改正で実務上特に影響が大きいと考えられる7つのポイントを解説する。

 

1.適用対象の拡大
ベトナム国内に恒久的な拠点を持たない海外企業であっても、電子商取引やデジタルサービス(例:Facebook、Googleなど)を通じて事業を行っている場合、電子インボイスの自主的登録・使用が認められるようになった。使用するインボイスは、付加価値税(VAT)インボイスである。

2.電子インボイスの種類の明確化
輸出加工企業(EPE)が輸出以外の事業を行う場合、VATの申告方法によって使用するインボイスの種類が区分される。直接方式で申告する場合には販売インボイスを、控除方式で申告する場合にはVATインボイスを利用する。
また、「電子コマーシャルインボイス」という新たな区分が導入され、海外への商品輸出やサービス提供を行う組織、企業、個人(輸出者)が税務当局に対してインボイスデータを電子的に送信できる場合に使用できる。要件を満たさない場合は、従来の電子インボイス(VATまたは販売)を用いることができる。

3.輸出時のインボイス発行タイミングの見直し
商品の輸出(加工輸出を含む)に関しては、インボイスの発行時点を販売者が自ら決定できるようになった。ただし、税関規定に基づく輸出通関日から翌営業日までには発行を完了しなければならない。これにより、これまで発行タイミングの誤りにより課されていた行政罰則の回避が期待される。

4.大量販売時におけるインボイス発行対象の追加
インボイスの発行対象として、大量販売取引に該当する業種の追加が行われた。
・鉄道輸送支援サービスの提供
・テレビ広告サービス、電子商取引サービスの提供
・銀行業務(融資業務を除く)の提供
・国際送金サービスの提供
・証券サービス、電子宝くじの提供
・有料道路の利用料収受
・財務省が定めるその他の業種

5.販促用の無償提供に関する発行簡素化
商品の贈与や寄付、販促用の提供など、対価を伴わない取引については、都度インボイスを発行する必要がなくなり、明細リスト付きの1枚のインボイスで一括対応が可能となった。

6.インボイスの作成日と署名日の扱いの明確化
電子インボイスの作成日から翌営業日までに電子署名を行わればならない。その際、作成日と署名日が異なっても有効とされる。販売者は作成日を基準にVATを申告し、購入者はインボイスを受け取り、その内容や形式が法令に則って正しく整っていると確認できた時点で申告することになる。

7.インボイスの調整について
1か月の間に同一取引先に対して複数のインボイスを誤って発行した場合でも、1枚の修正インボイスでまとめて訂正できるようになった。これにより、修正手続きの効率化が図られる。

 

参考文献
・政令70/2025/ND-CP
・2025年3月28日のオフィシャルレター348/TCT-CS