日本での領事認証手続きガイド―ベトナムで外国文書を使用するための認証・公証手順
2026/04/29
- I-GLOCAL.CO.,LTD ハノイ事務所
- 公認不正検査士
- 鹿島妃里子
エグゼクティブサマリー
ベトナムはハーグ条約に未加盟のため、日本発行の書類をベトナムで使用するには、ベトナム大使館・領事館による領事認証が原則必須となる。
主要ポイント
・【書類区分】公文書(官公署発行)と私文書(会社・個人発行)で手続きの流れが異なる。公文書は外務省→大使館の2ステップ、私文書は公証役場→法務局→外務省→大使館の4ステップ。
・【ワンストップサービス】私文書の手続きは、公証役場が法務局・外務省分も一括処理するワンストップサービスを利用することで大幅な時間短縮が可能(北海道・宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・福岡で対応)。
・【公文書の私文書化】宣言書を添付して公文書を私文書化することで、ワンストップサービスを利用でき、最短1日での完了が可能。
・【費用・期間の目安】外務省公印確認:無料・約4営業日。公証役場:和文3,500円・外国語文書9,500円・受付後1時間程度。大使館領事認証:1通4,500円・窓口半日・郵送1週間程度。
・【書類の注意点】宣言書・委任状の日付は原本発行日以降に設定する。ホッチキス取り外し・封筒開封・マーキングは書類無効につながるため厳禁。
1. 領事認証とは
日本の官公署が発行した公文書、または会社・個人が作成した私文書について、公証手続等の所定の手続を経たうえで、ベトナム国内で使用可能とするために行う認証手続を指す。
ベトナムはハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする制度に関する条約)に加盟していないため、日本で発行された文書をベトナムの政府機関または企業に提出する場合には、ベトナム大使館または領事館による領事認証を受ける必要がある。
なお、当該領事認証が付されていない外国発行文書は、原則としてベトナム当局における各種手続において受理されない。
一部の書類については、日本またはベトナムのいずれかで領事認証手続きを行うことが可能な場合があるが、本ガイドでは、日本における領事認証手続きに限定して説明する。
主な使用シーン
以下のような場合に、日本の書類に対する領事認証が必要となる。
● ベトナムでの就労・労働許可証申請
● ベトナム法人の設立手続き
● ベトナム法人の増資手続き
● ベトナムへの投資に係るM&A手続き
※具体的にどの書類に認証が必要かどうかは、法令を確認のうえ、書類を提出するベトナム側の機関に事前に確認することことが望ましい。
2. 公文書と私文書の違い
書類の種類によって、認証手続きの流れが異なるため、まずは提出する書類が「公文書」か「私文書」かを確認することが重要である。それぞれの違いと主な具体例は、以下のとおりである。

※ 大学卒業証明書を公文書と私文書のいずれとして扱うかについては、ベトナム当局の解釈に地域差があるため、領事認証の実施前に事前確認を行うことが望ましい。
3. 手続きの流れと必要書類
3.1 手続きフロー

3.2 各ステップの必要書類・費用

書類によっては、領事認証とは別に、ベトナム語への翻訳および翻訳文に対する認証手続が必要となる場合がある。この翻訳・認証の対応方法には、主に以下の2つがある。
① 日本にあるベトナム大使館または領事館で翻訳認証を受ける方法
② 日本で領事認証まで完了させた書類をベトナムへ持参し、ベトナム国内でベトナム語に翻訳したうえで、公証手続を行う方法
弊社がご支援させていただく場合には、②の方法にて実施することが多い。
4. よくある質問
Q:公文書を私文書化するとは?そのメリットは?
A:登記簿謄本といった法務局などの公的機関が発行する文書は公文書であるため、本来であれば外務省→大使館の手続きとなる。ただし、外務省認証は即日対応をしてくれないため、書類の受取りは翌日以降に再度行うことになり手間と時間を要する。宣言書を添付し私文書化することで、公証役場(ワンストップサービスの場合)→大使館での手続きとなるので、全ての書類手続きを同じ手順で且つ最短1日で終えることが可能となる。
※外務省認証では手数料は発生しない為、公文書を私文書化して公証手続きを行う場合には、公証役場での手数料は私文書同様発生する。
Q:ベトナム大使館での手続きは?
A:ベトナム大使館(東京)の窓口は、午前・午後を問わず混雑していることが多いため、手続きの際は時間に余裕を持って来館することが望ましい。窓口には日本語対応可能な職員もいるため、申請手続きは日本語でも特段支障なく行うことができる。なお、大使館のウェブサイトには電話番号の記載があるものの、電話での問い合わせは対応していない場合もあるため、事前確認の方法には留意が必要である。
Q:書類準備時の失敗事例は?
A1:書類作成の順序は、原本→宣言書→委任状となるため、宣言書および委任状の日付は、公証対象となる原本の発行日(または取得日)以降とする必要がある。特に、宣言書の日付が原本の発行日より前となっている場合、内容の整合性が取れないとして受理されない可能性があるため注意が必要である。不安な場合は、日付欄を空欄のままとし、公証手続時に公証人の面前で記入する方法が確実である。
A2:日本の官公署が発行した公文書については、上記フローのSTEP 3で領事認証を申請する前に、書類の完全性が保たれている必要がある。原本からホッチキスを外したり、無犯罪証明書の封筒を開封したり、蛍光ペンでマーキングを行ったりしないよう留意する。書類の完全性が損なわれた場合、当該書類は無効となり、再取得が必要となる場合がある。
参考情報
外務省
・公印手続き:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html
・ワンストップサービス:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000607.html
駐日ベトナム大使館・領事館
(東京)駐日ベトナム大使館:https://vnembassy-jp.org/ja
住所: 〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町50-11
(大阪)在大阪ベトナム総領事館:https://vnconsulate-osaka.org/ja/
住所: 〒590-0952 大阪府堺市堺区市之町東4丁2-15
(福岡)在福岡ベトナム総領事館:https://vnconsulate-fukuoka.org/ja/
住所:〒810-0801 福岡県福岡市博多区中洲5丁目3−8 アクア博多4階
関連レポート
・外国人労働者に対する労働許可証発行手続きに関する政令219/2025/ND-CPの改正内容
・外国投資によるレストラン設立に関する手続きと留意点

