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【労務】社会保険・失業保険の納付遅延から逃避行為への転換時期の規定

2025/11/06

2025年11月30日より、社会保険に関する政令第274/2025/ND-CP号(以下「本政令」)が施行される。本政令は、社会保険および失業保険に関する「納付遅延」および「納付逃避」行為について、社会保険法の一部条項を具体化するとともに、社会保険に関する苦情および告発の処理についても規定している。さらに、「納付遅延」と「納付逃避」の区分を明確化し、遅延行為が逃避行為へと転換する時点を具体的に定めている。

1.60日経過後に「逃避行為」と見なされる場合
政令第3条および第6条によると、使用者が法定の納付期限を過ぎても60日以内に納付を是正しない場合、または社会保険機関からの文書による督促を受けても義務を履行しない場合、当該行為は「納付遅延」から「納付逃避」に転換される。

2. 具体的なケース
(i)社会保険・失業保険への未登録
社会保険・失業保険の加入登録期限を過ぎて60日経過しても登録を行わない場合、当該行為は「納付逃避」と見なされる。
→ 適用開始日:登録期限経過後61日目。

(ii) 基準以下の給与登録
・月次納付単位の場合:登録した給与が発生した月の翌月末日を過ぎた時点で「納付逃避」と見なされる。
・3カ月または6カ月ごとに納付する単位の場合:納付サイクル終了後の翌月末日を過ぎた時点で「納付逃避」と見なされる。

(iii)督促後も納付しない場合
社会保険機関が納付期限経過後45日以内に督促文書を発行し、それにもかかわらず60日経過しても納付を行わない場合、当該行為は督促発行から61日目に「逃避行為」と見なされる。一方、督促が45日を超えて発行された場合は、督促発行日から15日経過した時点で「逃避行為」と見なされる。

3. 義務および制裁措置
「納付逃避」と認定された企業は、以下の義務を負う。
(i)逃避した社会保険・失業保険の全額を納付すること。
(ii)逃避金額および日数に応じ、日率0.03%の延滞利息を支払うこと。
さらに、行為の性質に応じて、行政処罰または刑事責任を問われる場合がある。
企業においては、社会保険の納付期限を厳格に管理し、60日以内に発生した未納を速やかに是正することが重要である。また、社会保険算定基礎となる給与額および労働者登録内容を定期的に確認し、法令に適合した運用を行うことで、法的リスクの発生を未然に防ぐことが求められる。

 

参考文献:
・政令第274/2025/ND-CP号