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事業投資法案のポイント~投資法に代わる新たな枠組み~

2025/09/25

財務省は現行の2020年投資法に代わる「事業投資法案」を起草している。本法案は、ベトナム国内における事業投資活動およびベトナムから海外への事業投資活動について規定し、投資家ならびに事業投資活動に関わる機関、組織、個人に適用される。可決された場合、2026年7月1日より施行される予定であり、ベトナムの投資環境にとってプラスの変化をもたらすことが予想される。
以下は、ベトナムにおける投資活動に関連する主な変更点である。

1. 投資条件付業種の見直し
大きな変更点の一つは、投資条件付業種リストが政府により公布されることである。
従来は2020年投資法に規定されていた投資条件付き業種リストを、政令により政府が直接公布する形とし、社会経済の変化に応じて柔軟に更新できる仕組みとした。意見募集資料によると、会計サービス業、留学コンサルティング業、職業紹介サービス業、労働者派遣サービス業などを含む16業種が投資条件付業種リストから削除される予定である。

2. 外国投資家による「新規経済組織(子会社)設立」手続きの変更
従来、外国投資家がベトナムで新たに子会社を設立する場合には、まず投資プロジェクト実施の申請を行い(IRC)、その後に会社設立申請(ERC)を行う必要があった(IRC → ERCの順)。本法案では、これまでの申請方法(IRC→ERC)以外に、申請の順序を逆転し、まず子会社設立(ERC)を行い、その後に投資プロジェクト申請(IRC)を行うという選択肢も増えた(ERC → IRCの順)。この変更により外国投資家の柔軟性は高まり、事業開始までの時間と手間が軽減される見込みである。一方で、本法案は依然として外国投資家の市場アクセスについては条件を設けており、投資誘致と規制管理のバランスを取る狙いがあると考えられる。

3. 投資プロジェクト終了事由の追加
本法案では、投資プロジェクトが終了となる事由が以下の通り追加されている。
・経済組織が解散、破産、または事業登録関連法令に基づき活動を終了した場合
・投資家(個人)が死亡、または民法に基づき裁判所により死亡宣告を受け、遺言を残していない場合

4. 海外投資手続きの簡素化
本法案は、海外投資に関連する手続きを大幅に簡素化している。
具体的には、従来必要とされていた海外投資方針承認手続きを廃止し、海外投資登録証明書の交付対象を「投資額が200億ドン以上のプロジェクト」に限定した。これにより、現行制度のようにすべての海外投資プロジェクトに登録証明書交付手続きを行う必要はなくなる。現在、本法案は依然として起草・意見収集中であり、今後さらに修正が行われる可能性がある。
最新情報が発表され次第、わかりやすくお伝えしていきたい。

参考文献
・2020年投資法
・事業投資法案