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【企業】個人情報保護法が正式に可決
2025/07/03
2025年6月26日、国会は個人情報保護法を正式に可決した。本法律は、2023年7月から施行されている個人情報保護に関する政令第13/2023/ND-CP号(以下「政令13号」)を基礎とし、これを発展・強化する形で制定された。施行は2026年1月1日からとなる。なお、政令13号はベトナムで初めて個人データの取扱いに関する包括的なルールを定めたものであり、現在も有効である。
今回の法律は、その政令の内容を引き継ぎつつ、用語や手続きの整理、管理体制の明確化を進めたものであり、企業が今後の運用を進めやすくすることも意識された内容となっている。新たに制定された個人情報保護法の主なポイントは以下の通りである。
1.個人情報処理影響評価および個人情報越境移転書類の更新期限の明確化
企業は以下の場合に評価書の更新が義務付けられる。
・定期更新:変更があった場合、6か月ごとに定期的に更新する。
・即時更新:事業終了、組織再編、解散、破産時、個人情報保護サービス提供者の変更時、新規事業・サービスの開始時、あるいは既存事業の停止時政令13では更新頻度が明記されていなかったが、法律ではより厳格で継続的な管理が求められることになる。
2.行政処分における罰金額の明確化
法律では、違反行為に対する最大罰金額が具体的に規定された。
・個人情報の違法売買行為: 違反行為による収益の最大10倍までの罰金。
・越境移転に関する違反(組織対象): 前年度売上高の最大5%の罰金。
・その他の違反行為: 最大3億ドンの罰金。
詳細な罰金額の算出方法については、今後、政令で別途定められる予定である。
3. 同意要件の厳格化
第9条にて、情報主体による同意についてより厳格な追加規定を設けている。
・情報主体による同意は、書面、音声、チェックボックス、メッセージでの同意、あらかじめ同意の手段を具体的に明示されなければならず、情報処理の目的ごとに個別の同意が必要となる。企業は従来のように複数の目的を一つの共通同意チェックボックスにまとめることはできない。
・同意取得に条件を付けることや、強制的に同意させることは一切禁止される。
4. 特定の活動に関する新たな規定
法律では、以下の活動における個人情報保護について新たに規定が設けられた。
・子どもの個人情報保護
・採用活動および労働者の管理・利用における情報保護
・健康情報の取扱い
・保険・金融・銀行・広告・SNS・オンラインメディアサービス・公共の場での録音・録画に関する情報保護
5. 既存の同意・書類の取扱い
法律施行前に、個人情報主体から同意を得ている場合や、政令13号に基づき合意のもとで実施中の個人情報処理活動は、そのまま継続可能であり、改めて同意を取得する必要はない。また、施行前に提出済みの個人情報処理影響評価書や越境移転関連書類についても、引き続き使用が認められる。ただし、施行後の新たな作成・更新は新法に従う必要がある。企業・組織は、これまでの政令13号に基づく体制を維持しつつ、新法の施行に備えて個人情報保護体制の再点検を進め、必要に応じて内部ルールの整備や関連書類の準備を行うことが推奨される。
参考文献:
・政令第13/2023/ND-CP号(2023年4月17日付)
・2025年6月26日に国会で可決された2025年の個人情報保護法
https://duthaoonline.quochoi.vn/dt/luat-bao-ve-du-lieu-ca-nhan/250328101343391295