實原  蕪木さんはそもそもなぜベトナムで起業したのですか?

蕪木  そうですね。なぜベトナムで起業したのかの前に、まずなぜベトナムで仕事をしようと思ったのかについてお話ししますね。

ベトナムに初めて来たのは学生時代(20歳の時)なのですが、初めて来た時に、何かこの国で仕事がしたいなと思ったんですよね。その後、公認会計士になって、現在のあずさ監査法人(当時 朝日監査法人)に入社し、アーサー・アンダーセンという当時世界で一番大きな会計事務所のネットワークに所属している時に、運よく、アーサー・アンダーセンのベトナム事務所に出向する機会があったのですが、2001年にアーサー・アンダーセンが潰れてしまって、通常の任期も終わったので、日本の出向元に帰任するという選択肢もありましたが、それもあまり面白くないんじゃないかと思ったのと同時に、ベトナムで仕事をしていくことが『自分が生きてきた証を残す』というコンセプトに一番合っていると思って、ベトナムで起業しようと決めました。

学生時代にベトナムを初めて訪れた蕪木氏

学生時代にベトナムを初めて訪れた蕪木氏

實原 『生きてきた証を残す』というところまで、20代の蕪木さんは考えていたのですか??

蕪木  いや、昔からですね。そもそもベトナムは親戚のおじさんが大好きで、ベトナムにはそのおじさんに連れて行ってもらったのですが、20歳の時、そのおじさんと夜通し話している時に「お前人間の幸せって何か分かるか?」って質問されて「いや、さっぱり分からない。幸せが何かなんて考えたこともない。」って答えたら、おじさんがこう言ったんです。
「人間は『人間』って動物だから、他の生き物と一緒で、生きてきた証を残すことに本能的に一生懸命になる、だからそれが幸せなんだよ。」といったような話で。その言葉にやけに共感してしまって。そこから『生きてきた証を残す』ということをモノサシにして、人生の選択をしようと無意識的に考え始めました。

實原 そこから考えだしたのですね。

蕪木 そう。それで考えると、自分が他の人よりも強みが発揮できるところに居なきゃ生きた証は残せない、弱いところじゃ力を出せないって思うようになって。
例えば、日本に帰ったとしても、僕よりも優秀な公認会計士の人なんていっぱいいるわけです。同じ土俵で戦ったとしても生きてきた証なんて残せない。そんな中、たまたま好きだと思っていたベトナムに1999年から駐在することになり、日本人第一号のベトナム公認会計士の資格を取ったりもして、やっぱり自分の強みは『ベトナム』であり『会計士』であって、そこで『生きた証を残す』べきだという考えがあったから、ベトナムで起業したんです。
最初から、あまり儲からないってことは予想はしていたのですが、全くその通りで儲からなくて。でも、前職の上司から「絶対失敗するぞ。失敗しても2年後に同じ給料と待遇で雇ってやるよ」って言われていたので、気楽に起業しました。

 

アーサーアンダーセン勤務時代の蕪木氏

アーサーアンダーセン勤務時代の蕪木氏

實原 そんなに悲壮感がある感じではなかったのですね。

蕪木 全然ないですね!悲壮感なし!借金もなし!借りにも行かなかったですし(笑)

實原 最初は、ローカル家から始めたんですよね?(笑)

蕪木 そうそう、すごく古くて狭くてね。ただ、飛行機代がかかるから、それくらいは稼がなきゃなって思っていました。

實原 そうですね、それは当然ですね(笑)
なるほど。今まで起業した時の話は何度も聴いていましたけど、そんな背景があったんですね。

實原 一度聞きたかったのですが、経営者の後継として僕を選んだ理由は何ですか?

蕪木 選んだ理由。そうだね、まずは實原君(以下 タカ君)がベトナムを本当に好きだっていうところ。これは大きいね。好きなところにいるのは強さになるから。その上でベトナム公認会計士資格もカンボジア公認会計士登録もして結果を出している。
それと、ベトナムが若い国であることとタカ君の年齢。ベトナムの今の平均年齢が28歳だよね?タカ君は今32歳だった?

實原 ええ、そうですね。任せるのにはまだ若いと思うことはありませんでしたか?

蕪木 いや、僕が起業した時は30だったし、全然若いと思うことはないですね。
むしろもっと早くても良かったのかもしれない。平均年齢28歳の中で44歳の僕はかなり高齢っていうことになる。若い成長中の国には機動力が必要だし、年齢も近い方がみんな仕事や相談もしやすい。いつまでも年を取った人が上に居るのはいろいろ良くないと思うし。そういうところが理由かな。

實原 ありがとうございます。期待を超えられるように今後も頑張ります。

實原 話が変わりますけど、自分で言うのもおこがましいですが、I-GLOCALは端から見てもかなり順調に成長していると思われている会社じゃないですか。でも、トップの我々は別に難しいことを何もしていなくて、みんな「何でI-GLOCALはこんな伸びているんだろう?!なんでこんなに良いお客さんに恵まれているんだろう?」って思われていると思うんですが、実際なぜこんなに成長し続けられているのだと思いますか?

蕪木 いやー、やっぱりそれは会社の行動規範である「Simple/Open/Speedy」が、今働いている人やお客さんが求めるものと合っているんだと思いますよ。
こういうコンサル業の人って、簡単なことを難しく話して相手の不安を煽る、っていうことを職業上やってしまっているんですけど、僕たちはいかに解りやすく伝えるか、物事を複雑にしないか、ということを大切に心がけています。
また、守秘義務を守った上で、我々がどういう会社なのかということを、お客さんに不安を与えないようにオープンに伝えています。それに何よりスピーディーにお客様のニーズや、困るであろうことに対処しているし、問題が起きたらすぐ対応する姿勢があります。
そういう行動規範に共感して貰えるお客様が顧客になってくださるし、そこに共感した人達が会社に集まってくれます。
どんどん良いお客さん・良い仕事と良い人財が集まって、良い仕事をするからまた良いお客さんが集まって、さらに良い人財も集まる、っていうスパイラルになっているんだと思いますね。

實原 あと、やっぱりベトナム人の場合、すごく優秀な社員達がある程度仕事覚えると独立したり辞めたりすることが多い中、幹部・経営者の一員として残って会社の経営を一緒にやってくれているというのは、他の会社と違ってすごく成長してきた要因ではありますよね。

蕪木 そうですね。一度外に出ていろいろ見た上で戻ってきてくれた人もいるし、グループの中で独立してる人もいるから。日系のお客さんが多いとは言え、ベトナム自体の事を理解している幹部がいてくれるのは強いですね。I-GLOCALに居ることで良いお客さんと出会えて、いろいろなノウハウを吸収したり、経験できると本気で思ってくれたメンバーが支えてくれることは本当に良いことですね。

實原 本当にそうですね。

現在のI-GLOCAL幹部社員たちが成長していく

現在のI-GLOCAL幹部社員たちが成長していく

實原 これからしていきたいことはありますか?

蕪木 僕自身が、これからは素晴らしいOBになりたいな。

實原 OBを大切にする社風を磨くために、自分自身がOBになると。

蕪木 そう。このサイトを見てくれている人は、I-GLOCALがどういう会社で、この会社で働くとどうなるのかを考えている人だと思うんですけど、基本的にはフラットな会社だと思いますし、とても家族主義的な会社だと思います。だからそういったOBを大切にするというような社風にまで共感してくれるような人が合うと思いますね。
今後のI-GLOCALは今までの流れを変える必要もないと思いますし、OB・OGも今働いてくれている人も大切にして、利益だけを大切にするんじゃなくて、仕事のプライドやその人の人生までを大切にする会社でありたいと思いますね。

實原 そうですね、うちの強みはやはり人財ですね。

實原 I-GLOCALに向いているのは社風や行動規範に共感してくれる人、ってことで全て言い尽くせていますか?

蕪木 このサイトを見てくれた全ての人が応募してくれるわけではないと思いますし、全ての人に応募していただいても、我々も全て雇用できるわけではないので、なおさら言っておきたいのですが、トップと新入社員がこれほど近い会社は珍しいと思います。
新人さんにとってうちの会社が他の会社と違うなと思ってくれているならば、大手企業ならかなり時間が経ってからでないとさせてもらえないような仕事も、かなり早い段階で任せてもらえますし、逆に零細な企業に比べると、きちんと組織として成り立っていて、良いお客さんがいて、チームで仕事ができる。特定の誰かに好かれたから出世できる、というような変な人間関係もない。非常にフェアな会社だと思います。

会社を決める際にOB・OGや、現役の先輩達を見て決めることって大きいと思うのですが、こういう人になりたいと思えるような人が居ないと、良い会社にならないと思うんですよね。だから僕はOBになるし、経営者、幹部、シニア、それぞれがみんなからこんな人になりたいと思われる人になって欲しい。
給料や待遇ももちろん大事だと思いますし、I-GLOCALも決して悪いほうではないと思いますが、それよりも尊敬できる人がいるかどうかということの方が、成長していく上では大切だと思います。 だから、これからも人を大切にしていく会社でありたいし、そういう視点で会社を選ぶ力があり、目先の利益では仕事を選ばない人が向いていると思います。

社員旅行や日本への研修旅行などを毎年行っている

社員旅行や日本への研修旅行などを毎年行っている

實原 新入社員に会社に貢献して欲しいとか、稼いで欲しいなんて微塵も思っていませんからね。自分勝手に、いろんなことやりたい!と思っている人に来て欲しいですね。

蕪木 そうですね。たまに履き違えた人というか「NGOで活動しています!」とか「世界平和のために…」とか話す人もいますが、まずは自分自身が生活していけるだけの知識や経験、基盤を持たないことには人の役には立てません。自分で立てない人は人を支えられないですからね。だから、まず自分が成長する!という人に来て欲しいですね。
タカ君が来て欲しいと思う人は?

實原 ありきたりですけど、やっぱり成長したいって本気で思っている人ですね。
ただ、成長意欲の高い人の中にもいろんな人がいますから、単なる傲慢な人では絶対お客さんに共感してもらえませんし、スタッフにも共感してもらえません。人が喜んでくれることを自分の喜びにできる、人の気持ちが分かる人と働きたいですね。そういう人はみんなに好かれて成長しますから。相手にどう思われているか、真剣に考えられる人ですね。

新人の成長を感じられる瞬間がとても嬉しい

新人の成長を感じられる瞬間がとても嬉しい

蕪木 自分以外の他者に興味を持つのは大切なことだよね。そういう人間であって欲しいし、感謝の気持ちがある人間であって欲しい。何よりも問題を先送りにして逃げない人、それもプラスに考えられる人ですね。

實原 働いていると面倒なことも、嫌なこともあると思いますからね。

蕪木 どんなに頭が良い人でも、学歴や資格・語学能力がある人でも、前向きに考えられない人とは、人間性や協調性という意味で一緒に働きたくないですね。
特に若い人にはスキルとかを求めていなくて、どれだけ会社に入ってから伸びるのか、成長したいと思っているのかが大切だと思うよ。

實原 現時点で自分が優秀だと思っている人はI-GLOCALには合わないでしょうね。 自分なんかでもここに入れば成長できるんじゃないか?いつか人の役に立てるようになれるんじゃないか?そんな風に思っている人が一番伸びますね。

蕪木 同感です。ビジネススキルもある程度は必要なんだろうけど、そういうのは後からでも身につくからね。それよりも、学ぼうとするベクトル、行動規範を守れるベクトルが大切だと思います。現状に驕れることなく、かといって卑屈にもなりすぎない人に入ってもらえると嬉しいですね。